(一財)建築環境・省エネルギー機構が運営している自立循環型住宅のHP上に自立循環型住宅への省エネルギー効果の推計プログラムというソフトがある。お馴染みの一次エネルギー計算ソフトがベースになっているみたいだが、住宅の年間の光熱費を算出することが比較的、簡単にできる。 このソフトを使って熱交換換気システムを導入すると得かどうかをシミュレーションしてみます。 こういったシミュレーションはソフトや前提条件で異なってくるので、あくまでもひとつの計算例にはなります。 おおまかな前提条件 自立環型のソフトを使用 地域は5地域(地域設定はこれだけ) 建物性能はG1クラスのUa値0.48W/m2K 床面積は106m2(32坪) 自動計算なのでわからないが約128m3の換気量? 居室のみで構成されている家と仮定し、その居室をエアコン連続暖冷房にして疑似的に全館冷暖房 他の数値は基本的には初期値だが、地域性は多少加味し、当たり前になっている設備なども反映 この前提条件の建物の換気設備のみ変えただけの計算結果を見てみます。 第3種換気設備を設置した場合 ダクト式で設定(比消費電力0.03W/m3/h) 年間光熱費は233,011円 熱交換型換気設備を設置した場合 熱交換効率86%(比消費全力0.23W/m3/h、有効換気量率98) 年間光熱費は217,389円 差額は233,011円-217,389円=15,622円 ということで、熱交換換気設備を設置した場合の方が一次エネルギーが低く省エネになり、光熱費が年間15,622円安くなります。 ではお得になるでしょうか。 熱交換換気設備と第3種換気設備のイニシャルコストの差が25万円と仮定すると、 250,000/15,622=16年で元が取れる計算です。 使用期間中のフィルター交換はどちらも同程度の金額がかかると仮定しても、少なくとも2倍の数があるモーター(おそらく10年程度で交換)、熱交換素子などの交換も視野に入れると熱交換型換気設備は省エネにはなるが、費用的に得になるかはそれほど簡単ではなさそうです。 参考までに熱交換換気システムの場合は第3種換気システムよりも、建物の内外圧力差が無くなってくるので漏気量が増え、さらに局所換気分(トイレや浴室)の換気も必要になってくる。 これらを加味し、ソフト上で換気回数を0.7回※に設定できるので熱交換型換気設備を設置した場合の光熱費を計算してみると 年間光熱費は220,496円となり、第3種換気設備設置の場合との差額が年間12,515円とさらに差は縮まり、元が取れる期間も250,000/12,515=約20年と長くなる。 ※漏気分を0.1回増と仮定し、局所換気分(トイレ30m2×2h,お風呂50m2×5hで0.05回増)と合計で0.15回。ソフト上は0.2回増にしているが熱交換もされている。あとはモーターの負荷があるがこちらの計算の方が実態に近いかもしれない。 ここまでは気密性能に拘った場合の話で、気密性能が悪い場合、さらに漏気が増えて省エネにさえ働かない可能性もあるかもしれません。 特に冬期に風が強い新潟ではきちんとした気密性能は必須です。参考過去記事 だから熱交換換気がダメ、というわけではなく、省エネとお得(単純なコストメリット)を分けて考える必要がある、という意味です。 熱交換換気のメリットである、冷気を感じにくい、冬の過乾燥対策になり夏の湿度を下げられる、この辺りにコストとメンテナンスの手間以上のメリットを見いだせれば設置するのはよいと思います。 実際に南区の平屋は主にメンテナンス面での対策を考え、熱交換換気システムを設置する予定です。
by takakoun
| 2021-08-29 14:29
| 換気
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