素材と断熱に拘った省エネ住宅を造る工務店ブログ
断熱改修?

このブログ記事にあるように、当社事務所はスカスカの断熱性能、気密性能なのを無理やり暖房設備(暖炉)で暖かくしている。

なので一部屋の空間にもかかわらず各場所、各高さでの温度差が大きく低断熱の見本のようなものです。さらに壁表面温度も低いために冷輻射を受けてしまい、壁際に置いた机でデスクワークをしていると部屋が温まっていてもどうにも寒く、不快で集中できない。


このままでは自律神経がおかしくなりそうなので、足元だけでも改善したいと思い、断熱材の端材を利用して基礎コンクリートが露出している面(デスクの後ろ)を室内側から部分的に覆ってみた。(写真赤線より左側、右側は左官仕上げしてあるコンクリート)

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後日、室内温度約20℃、外気温度は偶然にもきっかり0℃(気象庁データより)のときに表面温度を熱カメラで測ってみました。

基礎コンクリートが露出している面は11℃。計算上は10.2℃なのでいいところ。足元が寒いはずです。

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そして断熱材表面で17.3℃。計算上も17.8℃なのであってそう。

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ということで6℃以上も表面温度が改善されました。たった3cmでも断熱材の効果がすごいのがわかります。


ただ、断熱材は接着剤で密着させているわけではなく、はめ込んでいるだけ。断熱材とコンクリートの境目はコンクリートがむき出しの所よりも温度が下がるはずなので(計算上は2.3℃)普通の住宅環境だったら結露してしまう可能性が大です。


当社事務所は住宅と違い、基本的に湿気がでない環境なので乾燥気味であり、温度20℃で湿度30%とかもざら。

その環境だと計算上では露点(結露する温度)は1.9℃なのでぎりぎり結露しないライン。例え結露しても許容するつもりでやっています。住宅ではこのような簡易な方法で断熱改修はできません。


足元の表面温度17度超えても、ひんやり感は残りますが、良しとします。




# by takakoun | 2021-02-06 16:35 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
断熱気密の利点 番外編

この記事で使った表をもう一度見てみます。

今度は日照時間の欄に注目すると、1月で58.2時間となっています。(紫色の線)
1月の単純平均をだすために、31日で割ると一日あたり約1.87時間の日照時間になります。

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比較するために、今度は東京の平年値を持ってきます。
1月は184.5時間(紫色の線)。同じように1月の単純平均をだすと一日あたり5.95時間となります。

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このように1月だけ見ると、新潟は東京の1/3以下の日照時間になります。表をよく見て頂けると前後の月(11月、12月、2月)もさほど変わらず、3月になってからやっと増え始めているのがわかります。新潟は多くの地域が省エネ区分で5地域(とりたてて寒冷地というわけではない)に該当しますが、そのわりには暖房費が多くかかる県になります。

風も強い(ブログ記事参照)ので、温度以上に寒く感じる人も多いと思います。


南側の開口部、サッシを大きくとって日射を暖房熱に利用するパッシブ設計、パッシブデザインなどといわれる考え方がありますが、冬期の日射量の少ない新潟の場合、たとえサッシを大きくとってもよくて収支がトントン、サッシ性能が低ければ赤字(太陽熱を取り入れるより逃げていく熱の方が多い)になる場合もあるので、シミュレーションをよく行う事をおすすめします。

逆に言えば、明るさや眺望のためだったら、サッシやガラスの選定を間違わなければ南側の方位は収支をトントンにできるので、積極的に大きくしても問題ないとも言えます。方位が振れている場合や、その他の方位(北東西)の窓は、おそらく赤字になるので光熱費だけを考えれば付ける場所や大きさは絞った方がいいかもしれない。


ちなみに、夏季の日射(8月、赤色の線)を見ると、今度はなんと逆転します。新潟の方が多い。前後の月も同じ傾向であり、温度もさほど変わらない。
日照時間データからみると新潟の南側の開口部は夏の日射遮蔽の方が優先度が高そうです。




# by takakoun | 2021-01-29 15:53 | 高断熱高気密 | Trackback | Comments(0)
断熱気密の利点9 まとめ
高断熱高気密の利点、まだまだたくさんありますがここでは割愛します。

いままで高断熱高気密化した利点を性能面から述べてきました。
これらを簡潔に表現すると、

(暑いときでも寒いときでも)、家中の温度差があまりない(快適)な環境(暮らし)を無理のない光熱費で実現するため。

この目的のための技術、になります。


最近youtubeで家づくりを勉強している方が多いと聞いています。

勝手なリンクですが、エコハウスの代名詞で知っている方も多い東大の前真之准教授のyoutube動画です。
中立的な立場でわかりやすく説明しているのでおすすめです。






# by takakoun | 2021-01-15 14:02 | 高断熱高気密 | Trackback | Comments(0)
断熱気密の利点8 高気密のメリット5 施工精度の目安にする

高気密にするメリットはいろいろありますが、これが実は一番大きいのではないかと個人的には思っているのは、施工精度を確認するバロメーターになる、ということ。

UA値は(平均熱還流率)は、断熱性を確認する指標になりますが、これはあくまでも図面上でのことであり、言い換えれば机上の数字、ということになります。

実際に完成した建物に設計の時に考えられていた断熱性が本当にあるのか、はまた別の事。

例えば断熱材を間違って、もしくは適当に施工したとしても家が完成した後でその家のUA値がいくつなのか、を測定することは通常できないからです。


このようにUA値が設計値であるのに対して、気密測定は建物が完成した後の実測値になります。

イコールの指標ではありませんが、0コンマ台の高い気密性能があったとしたらきちんと断熱施工している可能性が高い、と言えると思います。

ただし、前回のブログにもあるように間違った施工方法でもある程度なら気密性能がでてしまうこともあるので注意が必要である。


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# by takakoun | 2020-12-31 13:44 | 高断熱高気密 | Trackback | Comments(0)
断熱気密の利点7 高気密のメリット4 建物を壁体内結露(内部結露)から守る

よくサッシに結露がでて悩まされることがある。
これは目に見えるものであり、あまりにも多くの結露水が発生して他に流れて影響を及ぼす、といったことがなければカビ等には注意が必要であまり好ましいものではないが、なんらかの対策をすることができます。

怖いのは目に見えない壁体内で同じような現象が起こること。
そして気密性が確保されていないと、冬期の壁体内結露(内部結露)が問題になる場合があります。

断熱材が外断熱オンリーの場合は、構造体が断熱材の室内側にくるので原則、問題はない。充填断熱の時は注意をする必要があり、特に繊維系の断熱材の場合は要注意である。

充填断熱の時、壁の中に湿気が入らないように、室内側に防湿シートをきちんと連続して張っていると壁の中に室内の湿った空気が入ることは少なくなり、結果として隙間がなくなるので気密性能も向上することになる。

これとは逆に、防湿シートなどをきちんと施工しなかったとしても、建物の気密性能がそこそこ確保されてしまうケースもあります。

例えば、外壁の下地材として合板などの面材を貼った場合、ある程度そこで気密がとれてしまう。


気を付けなければいけないと思っているのは、袋入りグラスウールを充填し、外壁下地に合板など(OSBも)を貼ったパターンである。

袋入りグラスウールは防湿フィルムの中にグラスウールが予め入った断熱材である。施工した人ならよくわかると思うが、この防湿フィルム、薄すぎてすぐに破けてしまう。ちょっとテープがくっついたとしても簡単に破け、補修も難しい。

しかも壁の中は、筋交いや金物、コンセントなど断熱材を詰めるには障害物がたくさんあり、防湿層をきちんと連続させることは困難。

防湿層が途切れた、もしくは無いところから湿気が入り、そして湿気は合板などに阻まれて抜けにくい、といったことが懸念される。

地域によるかもしれないが、袋入りグラスウールと合板を組み合わせた場合、計算上、このフィルムが無ければ結露してしまうケースがほとんど。


天井も同じです。
天井裏にこの袋入りグラスウールを施工する場合、普通の施工方法では防湿層はまず連続させることはできない。

下記は国土交通省の主催する省エネルギー講習のテキストでのイラスト。

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ここでは袋入りのグラスウールの場合、別張り防湿フィルム(防湿シート)を施工するか、内装下地材の4周に木下地を施工することになっているが、本当にそこまで気を使って施工をする建築会社はあまり見かけないような気がします。


リフォームの時に天井に防湿シートを張ったI邸の例

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恒常的に結露が起きると最終的には木が腐朽してきます。
リフォームなどで壁体内が腐朽しているのを見たことはあるが、原因が漏水なのか壁体内結露によるものなのか判断が難しい。


国の研究機関である国土技術政策総合研究所の報告書「木造住宅の耐久性向上に関わる建物外皮の構造・仕様とその評価に関する研究」に腐朽の事例が載っています。

下記は関東、築5年の事例。屋根断熱の排気口と防湿層の不備であると書かれている。北国だけであったり、古い住宅の問題ではないことがわかります。

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この報告書、検索すればでてくると思いますので興味がある人は調べてみてください。住まい手向けの章や動画も有ります。約1,900ページもあるので読むのは結構大変ですが。


ちなみに吹付ウレタンには注意がいらない、というわけではなく、どんな防湿対策をとっているのかは確認する必要があります。

ということで気密性能も大事ですが、それにプラスしてどのように防湿するのか、これも大事。





# by takakoun | 2020-12-15 13:53 | 高断熱高気密 | Trackback | Comments(0)